「おかわり、お願いします」



「はい」と低く静かに答えたバーテンダーが慣れた手つきで
背後に並ぶボトルを取り出す。


「あ、待って」
「はい?」
「別のモノ、作ってくださる?」
「何にいたしましょう?」
「そうね…何かこう、ガツンとくるやつ」
「はぁ?」
「『勝どき』とか名前のついたカクテル、ない?飲んだら勝負に勝てそうな名前のヤツがいいわ」



飲んでやる!ぜーんぶ飲み干して勝つ!
そう。勝つのは私だ!あんな奴に負けてたまるか。



今夜の私はちょっと違う。
常識と道徳に反した事のない優等生のサンが
こうなったのには訳がある。



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